Brigada Victor Jara のページ
Brigada Victor Jara とは?
- ポルトガルのフォーク(民俗音楽)グループです。
- チリのビクトル・ハラの音楽を調べていて偶然に知ったのですが、日本に全然情報がないので、自分でページ拵えようと思いました。カタカナの表記は、ブリガーダ・ヴィクトール・ジャラとでもなると思います。
- 英語Wikiの翻訳・要約・抜粋
- 30年以上のキャリアを誇り、ポルトガル・フォークの中で多大な影響を与えたバンド。1974年のカーネーション革命後に、コインブラ出身の若者によって結成。名前は前年に無念の死を遂げたビクトル・ハラから採った。
- 国内の様々な地域の文化や伝統音楽を発見した後、バンドを結成した。「Eito Fora」(1977)、「Tamborileiro」(1979)、「Marcha dos Folio~es」(1982)を始めとして、現在までアルバムが8〜9枚ある。
とにかく情報がない!
- 日本でこのグループのことを、というよりポルトガルの音楽を知っている人がどのくらいいるのでしょうか? 欧米の人々にも知られていないようで、ネットで検索しても英語の文章、会話が見当たりません。Amazonその他のショップでも一部の商品しか扱っていません。
- 幸い、Youtube に
地元ポルトガルのファンバンドメンバーがたくさんの楽曲を投稿していて、アルバムごとの全貌をつかむことはできます。というより、ほとんどその投稿にだけ従ってこのページは成り立ってます。
- 上記の英語wiki以外に、、、
- これらのページを参考にしました。
続・Brigada Victor Jara とは?
- 「Brigada」とは「〜隊、旅団」を意味するようです。こちらのブログによると、アジェンデ政権下のチリでは、「Brigada + 人名」というグループをつくって、壁画を描く運動が盛んだったのだとか。1973〜1974年頃、チリでは民主主義の政権が倒れ、逆にポルトガルでは独裁政権が倒れて民主化の動きが起きました。グループの結成にあたって、こういう事情が影響したのでしょう。
- 音楽的にはポルトガル各地の伝統音楽を元に、自分たちのアレンジを加えて曲にしているようです。昔の音楽の掘り起こしということですね。なのでフォークといってもアコギを抱えて4畳半でっていうフォークではなく、民俗音楽です。
- 内容としては、そのアコギやアコーディオン等を使ったフォルクローレっぽい音楽がベースで、そこにバイオリン等の弦楽器などが絡んでくるイメージでしょうか。でも、つくり込みが丁寧で、とても多彩なので一言で言い表すのは難しいです。というか下にいっぱいリンクを貼ってるのですぐ聴けます。
- ポルトガルの北の、スペインのガリシア地方にはケルト文化が発達していて、カルロス・ヌニェスなどの有名なバグパイプ演奏者(『ゲド戦記』やチーフタンズとの共演で知られる)がいますね。Brigada Victor Jara においても、このガイタと呼ばれるバグパイプの音はふんだんに使われてます。
- ポルトガルって歴史を調べてみると、たくさんの民族の玉石混交のようなところがあります。先住民がイベリア人で、そこにケルト人、ローマ帝国のラテン人、ゲルマン侵攻のゲルマン人、世界各地にいるユダヤ人、イスラム支配時代のアラブ人(ベルベル人)などが加わって、ひとつの「ポルトガル人」っていう括りになっているみたいです。
- 歌っている言語はポルトガル語で、これを聴くと、何となく、日本人には到底できそうにない器用さで物凄く自由奔放なサッカーをするブラジルのイメージが湧きます。ポルトガル語を話す主な国は、南アメリカの大国ブラジルと、大西洋を挟んだ小国ポルトガルだけですね。
- ポルトガルの文化に目覚めたばかりのニワカの愚見ですけど、このような民族の南米的な玉石混交、明るい土着感と、ケルト文化を始めとするヨーロッパの伝統的な高級感が並立しているのが Brigada Victor Jara の音楽のいいところって気がします。
Brigada Victor Jara のアルバム
- 5thアルバム以降を古いものから順に並べました。邦訳は個人的にGoogleの翻訳に頼ったものであって、かなり怪しいです。アルファベットだけだとイメージが湧かないので、便宜的に用意したものに過ぎません。
| タイトル | 邦訳 | Youtubeリンク | 歌詞 | 備考 |
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| Contraluz (1984) | バックライト | |
01 | Cantiga Bailada | 小唄が踊った | こちら | あり | ベイラバイシャ州の民謡。 |
02 | Pregões | セッション | こちら | | リスボンの民謡。男性Vo。 |
03 | Vai-te Embora Ó Papão | あっちへ行け、 子取り鬼 | こちら | | ベイラアルタの民謡。 怪しげな合唱の後、 綺麗なインストへ |
04 | Ea Judios | ユダヤの人と | こちら | | 宗教的なコーラス |
05 | Arribà Monte | 山の崖 | こちら | | ベイラアルタの民謡。 爽やか・雄大な感じ。 |
06 | Falsete De Moiros | 裏声のムーア | こちら | | アゾレス諸島の民謡 |
07 | O Cativo | 虜の人、囚われ人 | こちら | | アルガルベの民謡。 |
08 | Ilha De Sons | 音の島 | なし | | アゾレス諸島の民謡。 |
Crédito
Amílcar Cardoso (beiroa, braguesa, viola, baixo, caixa, paus, sarronca e coros)
Ananda Fernandes (coros)
Arnaldo Carvalho (bendir, caixa, voz solo e coros)
Jorge Seabra (cavaquinho, gaita de amolador, espanta diabos e coros)
Luis Garção (viola, cavaquinho, berimbau e coros)
Luisa Cruz (gaita de foles, ponteira, flautas travessas, adufes, pífaro, voz solo e coros)
Manuel Henriques (violino e coros)
Manuel Rocha (violino e coros)
Ofélia Libário (adufe, címbalos e coros)
Rui Curto (concertina, harmónio, acordeão, bombos e coros)
António Andrade (braguesa, beiroa, viola, baixo, bandolim, palheta de latão e coros)
Destaque, ainda, para a participação especial de(特別参加ということ):
António Lopes (saxofone barítono)
João Pedro (piano)
Ferreira da Costa (oboé)
Teresa Figueiredo (violoncelo)
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感想 Amazon他の Victor Jara のベスト盤に全曲混じってます。それまではいろんな地方の伝統音楽をただなぞっていただけだったのが、このアルバムから自分たちの趣向の表現に目覚めたって感じです。曲の出だし、終わり方にプログレ的な意表をついた変化が施されてます。そういう意欲的・挑戦的なところに、単なる伝統音楽との違いを感じます。
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| タイトル | 邦訳 | Youtubeリンク | 歌詞 | 備考 |
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| Monte Formoso (1989) | 美しいたくさんの | |
01 | O Bento Airoso | 風通しのよい ベネディクト | こちら | | ミランダ・ドドウロ市の民謡。 |
02 | Murinheira | | こちら | | ポルトガル北東部のダンス音楽。 |
03 | Tosquia | クリッピング | こちら | | ベイラバイシャの毛刈り歌。 |
04 | Faixinha Verde (versão A) | | こちら | あり | トラス・オス・モンテス州に 伝わる歌。チェンバロでアレンジ。 |
05 | Faixinha Verde (versão B) | | なし | | M04のインストもの 唯一、女性Voがある |
06 | Nos Campos de Vila Rica | ヴィラリカの野で | こちら | | トラス・オス・モンテス |
07 | Ei lá, Boi | そこにねぇ、牛 | なし | | ベイラアルタの民謡。 東洋的なインストもの。 |
08 | Minha Roda 'stá Parada | 私のホイールは 止まっている | こちら | | |
Crédito
Arnaldo Carvalho (bateria, caixa, percussões diversas, voz solo, coros)
Aurélio Malva (gaita de foles, ponteira, bandolim, guitarra eléctrica, viola, voz solo e coros)
José Manuel (viola baixo, coros)
Luis Garção (viola, cavaquinhos, viola beiroa, coros)
Manuel Rocha (violino, coros)
Ricardo Dias (piano, cordas)
Rui Curto (acordeão, concertina, coros)
Santos Simões (viola)
Destaque para as participação especiais de:
Luísa Cruz (voz, solo, em "Faixinha Verde")
Luís Bettencourt (guitarra braguesa, viola baixo e guitarra eléctrica)
Sérgio Mestre (flauta)
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感想
前作のようなプログレ的な仕掛けはなく、幾分か落ち着いた印象です。ただし、個々の楽曲は細部まで作りこんであって聴き応えあります。残念なのは、ルイーザが脱退したか何かで、男性がボーカルをとる曲がほとんどである点です。
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| タイトル | 邦訳 | Youtubeリンク | 歌詞 | 備考 |
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| Danças e Folias (1995) | 踊りとお祭り騒ぎ | |
01 | Jota Carvalhesa | 人名? | こちら | | |
02 | Chula de Paus | ファウルスティック | なし | | |
03 | Mi Morena | 私の茶色(?) | こちら | あり | |
04 | Campanitas de Toledo | トレドの鐘 | こちら | | |
05 | A Fofa | かわいい人 | こちら | | |
06 | Mazurca | マズルカ | こちら | | |
07 | Moda da Zamburra | ザンブラのモード | こちら | | |
08 | O Mineiro | 鉱山労働者 | こちら | | |
09 | Fraile Cornudo | 角の修道士 | なし | | |
10 | Chote | | こちら | | |
11 | Donde vas | どこへ行く | こちら | あり | |
Crédito
Arnaldo Carvalho (percussões tradicionais e coros)
Aurélio Malva (voz, acústica, viola braguesa, bandolim, gaita de foles, ponteira e coros)
Joaquim Teles (bateria e percussões tradicionais)
José Tovim (baixo eléctrico e coros)
Luís Garção Nunes (viola beiroa, cavaquinho e coros)
Manuel Rocha (violino e coros)
Ricardo Jesus Dias (piano, sintetizador, acordeão, gaita-de-foles, ponteira, pífaro de lata e coros)
Rui Curto (acordeão, concertina, harmónio e coros)
os quais contaram, ainda, com um elenco de luxo, de músicos convidados
(André Sousa Machado, António Pinto, José Medeiros, Jorge Reis, Margarida Miranda, Pedro Jóia e Tom´s Pimentel).
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感想
前作までの流れを踏襲した出来栄えです。叙情的な歌ものと軽快なインストものが交互に流れる感じです。そして、Margaridaという女性Voが加わることによって、前作にはなかった哀愁味たっぷりのバラードが生まれました。「Mi Morena」と「Donde vas」です。女性Voが短調のメロディを切々と唄いあげた後、弦楽器や管楽器のソロ演奏がさらに雰囲気を高めていくというもので、BVJ節とでも呼びたい程に作風がバッチリ決まってます。
CDのクレジットを見ると、この凝ったアレンジは Ricardo Jesus Dias の加入に拠るところが大きいみたいです。
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| タイトル | 邦訳 | Youtubeリンク | 歌詞 | 備考 |
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| Novas Vos Trago (1998) | | |
05 | Parto Em Terras Distantes | 遠い地での分娩 | こちら | | 歌:Margarida Miranda |
09 | Parto Em Terras Distantes (2a Versao) | 遠い地での分娩(Ver.2) | こちら | | 歌:Lena d'Agua & Margarida Miranda |
感想
1998年発売のコンピレーションものです。Brigada Victor Jara は2曲で参加しています。いずれも変拍子を駆使した素晴らしい楽曲です。クレジットを見ると、オリジナル曲のようです。
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| タイトル | 邦訳 | Youtubeリンク | 歌詞 | 備考 |
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| Ceia Louca (2006) | 狂気の晩餐 | |
01 | Chamarrita Zaragateira | | なし | | サンタマリア島の民謡。 歌:Jorge Palma |
02 | Tirióni | | こちら | | トラス・オス・モンテスの民謡。 歌:Manuela Azevedo |
03 | Lenga-Lenga | マントラ | なし | | テルセイラ島の民謡。 歌:Carlos Medeiros |
04 | Li-la-ré | | なし | | トラス・オス・モンテスの民謡。 歌:Vitorino Salomé |
05 | Moda do Pastor | 牧師のモード | こちら | | トラス・オス・モンテスの民謡。 歌:Lena D'Agua |
06 | Cantiga Bailada | 小唄が踊った | こちら | あり | 5th1曲目のリメイク。 歌:Catarina Moura、 Segue-me a Capela |
07 | Embalo | 勢い | なし | | マデイラ州の民謡。 歌:Cristina Branco |
08 | A Vida do Caracol | カタツムリの生活 | こちら | | テルセイラ島の民謡。 歌:Carlos Medeiros |
09 | Meninas vamos à Murta | 女の子がギンバイカに行く | なし | | ベイラバイシャの民謡。 歌:Rita Marques |
10 | Durme | おやすみ | こちら | あり | セファルディムの子守唄。 歌:Catarina Moura |
11 | Romance de D.Mariana | D.マリアナのロマンス | こちら | | アルガルベの民謡。 歌:Janita Salomé |
12 | Arruada | | こちら | | オリジナル曲。軽快なインスト。 |
13 | Rosinha | | こちら | | トラス・オス・モンテスの民謡。 歌:Carlos do Carmo |
Crédito
Arnaldo Carvalho (percussões tradicionais e coros)
Aurélio Malva (guitarra acústica, viola braguesa, bandolim, gaita de foles, e coros)
Catarina Moura (Voz solo em "durme" e "cantiga bailada")
José Tovim (baixo acústico)
Luís Garção Nunes (viola beiroa, cavaquinho viola toeira e coros)
Manuel Rocha (violino e coros)
Joaquim Teles(Quine) (bateria, percussão, e coros)
Ricardo J. Dias (piano, acordeão, gaita-de-foles, percussões tradictionais e coros)
Rui Curto (acordeão e coros)
他、ゲスト多数。
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感想
一曲ごとにボーカルの人を呼んで作られた作品みたいです。軽快なインスト、BVJ流泣きのバラード、ピアノだけのファドっぽいバラードとバラエティに富んだ内容になってます。円熟味を感じます。
間にコンピやリメイクのアルバムがあったとはいえ、オリジナルは11年ぶりの作品になります。前作で美しい声を聴かせた Margarida はバンドを去ったようです。でも代わりに Catarina というこれまた美しい声の女性ボーカルが加わりました。画像検索でよくヒットするメンバー写真の、体格のいい女の人です。この人が歌っている「Cantiga Bailada」と「Durme」が白眉だと思います。
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