Brigada Victor Jara のページ

はとみね勉強中 → その他のページ → 当ページ(最終更新:2013年3月2日)

 Brigada Victor Jara とは?

 ポルトガルのフォーク(民俗音楽)グループです。
 チリのビクトル・ハラの音楽を調べていて偶然に知ったのですが、日本に全然情報がないので、自分でページ拵えようと思いました。カタカナの表記は、ブリガーダ・ヴィクトール・ジャラとでもなると思います。
 英語Wikiの翻訳・要約・抜粋
30年以上のキャリアを誇り、ポルトガル・フォークの中で多大な影響を与えたバンド。1974年のカーネーション革命後に、コインブラ出身の若者によって結成。名前は前年に無念の死を遂げたビクトル・ハラから採った。
国内の様々な地域の文化や伝統音楽を発見した後、バンドを結成した。「Eito Fora」(1977)、「Tamborileiro」(1979)、「Marcha dos Folio~es」(1982)を始めとして、現在までアルバムが8〜9枚ある。


 とにかく情報がない!

 日本でこのグループのことを、というよりポルトガルの音楽を知っている人がどのくらいいるのでしょうか? 欧米の人々にも知られていないようで、ネットで検索しても英語の文章、会話が見当たりません。Amazonその他のショップでも一部の商品しか扱っていません。
 幸い、Youtube に地元ポルトガルのファンバンドメンバーがたくさんの楽曲を投稿していて、アルバムごとの全貌をつかむことはできます。というより、ほとんどその投稿にだけ従ってこのページは成り立ってます。
 上記の英語wiki以外に、、、
 これらのページを参考にしました。


 続・Brigada Victor Jara とは?

 「Brigada」とは「〜隊、旅団」を意味するようです。こちらのブログによると、アジェンデ政権下のチリでは、「Brigada + 人名」というグループをつくって、壁画を描く運動が盛んだったのだとか。1973〜1974年頃、チリでは民主主義の政権が倒れ、逆にポルトガルでは独裁政権が倒れて民主化の動きが起きました。グループの結成にあたって、こういう事情が影響したのでしょう。
 音楽的にはポルトガル各地の伝統音楽を元に、自分たちのアレンジを加えて曲にしているようです。昔の音楽の掘り起こしということですね。なのでフォークといってもアコギを抱えて4畳半でっていうフォークではなく、民俗音楽です。
 内容としては、そのアコギやアコーディオン等を使ったフォルクローレっぽい音楽がベースで、そこにバイオリン等の弦楽器などが絡んでくるイメージでしょうか。でも、つくり込みが丁寧で、とても多彩なので一言で言い表すのは難しいです。というか下にいっぱいリンクを貼ってるのですぐ聴けます。
 ポルトガルの北の、スペインのガリシア地方にはケルト文化が発達していて、カルロス・ヌニェスなどの有名なバグパイプ演奏者(『ゲド戦記』やチーフタンズとの共演で知られる)がいますね。Brigada Victor Jara においても、このガイタと呼ばれるバグパイプの音はふんだんに使われてます。

 ポルトガルって歴史を調べてみると、たくさんの民族の玉石混交のようなところがあります。先住民がイベリア人で、そこにケルト人、ローマ帝国のラテン人、ゲルマン侵攻のゲルマン人、世界各地にいるユダヤ人、イスラム支配時代のアラブ人(ベルベル人)などが加わって、ひとつの「ポルトガル人」っていう括りになっているみたいです。
 歌っている言語はポルトガル語で、これを聴くと、何となく、日本人には到底できそうにない器用さで物凄く自由奔放なサッカーをするブラジルのイメージが湧きます。ポルトガル語を話す主な国は、南アメリカの大国ブラジルと、大西洋を挟んだ小国ポルトガルだけですね。
 ポルトガルの文化に目覚めたばかりのニワカの愚見ですけど、このような民族の南米的な玉石混交、明るい土着感と、ケルト文化を始めとするヨーロッパの伝統的な高級感が並立しているのが Brigada Victor Jara の音楽のいいところって気がします。


 Brigada Victor Jara のアルバム

 5thアルバム以降を古いものから順に並べました。邦訳は個人的にGoogleの翻訳に頼ったものであって、かなり怪しいです。アルファベットだけだとイメージが湧かないので、便宜的に用意したものに過ぎません。

タイトル邦訳Youtubeリンク歌詞備考

Contraluz


(1984)
バックライトcontraluz
01Cantiga Bailada小唄が踊ったこちらありベイラバイシャ州の民謡。
02Pregõesセッションこちらリスボンの民謡。男性Vo。
03Vai-te Embora Ó Papãoあっちへ行け、
子取り鬼
こちらベイラアルタの民謡。
怪しげな合唱の後、
綺麗なインストへ
04Ea Judiosユダヤの人とこちら宗教的なコーラス
05Arribà Monte山の崖こちらベイラアルタの民謡。
爽やか・雄大な感じ。
06Falsete De Moiros裏声のムーアこちらアゾレス諸島の民謡
07O Cativo虜の人、囚われ人こちらアルガルベの民謡。
08Ilha De Sons音の島なしアゾレス諸島の民謡。
Crédito
Amílcar Cardoso (beiroa, braguesa, viola, baixo, caixa, paus, sarronca e coros)
Ananda Fernandes (coros)
Arnaldo Carvalho (bendir, caixa, voz solo e coros)
Jorge Seabra (cavaquinho, gaita de amolador, espanta diabos e coros)
Luis Garção (viola, cavaquinho, berimbau e coros)
Luisa Cruz (gaita de foles, ponteira, flautas travessas, adufes, pífaro, voz solo e coros)
Manuel Henriques (violino e coros)
Manuel Rocha (violino e coros)
Ofélia Libário (adufe, címbalos e coros)
Rui Curto (concertina, harmónio, acordeão, bombos e coros)
António Andrade (braguesa, beiroa, viola, baixo, bandolim, palheta de latão e coros)

Destaque, ainda, para a participação especial de(特別参加ということ):
António Lopes (saxofone barítono)
João Pedro (piano)
Ferreira da Costa (oboé)
Teresa Figueiredo (violoncelo)
感想
Amazon他の Victor Jara のベスト盤に全曲混じってます。それまではいろんな地方の伝統音楽をただなぞっていただけだったのが、このアルバムから自分たちの趣向の表現に目覚めたって感じです。曲の出だし、終わり方にプログレ的な意表をついた変化が施されてます。そういう意欲的・挑戦的なところに、単なる伝統音楽との違いを感じます。



タイトル邦訳Youtubeリンク歌詞備考

Monte
Formoso


(1989)
美しいたくさんの
01O Bento Airoso風通しのよい
ベネディクト
こちらミランダ・ドドウロ市の民謡。
02Murinheiraこちらポルトガル北東部のダンス音楽。
03Tosquiaクリッピングこちらベイラバイシャの毛刈り歌。
04Faixinha Verde (versão A)こちらありトラス・オス・モンテス州に
伝わる歌。チェンバロでアレンジ。
05Faixinha Verde (versão B)なしM04のインストもの
唯一、女性Voがある
06Nos Campos de Vila Ricaヴィラリカの野でこちらトラス・オス・モンテス
07Ei lá, Boiそこにねぇ、牛なしベイラアルタの民謡。
東洋的なインストもの。
08Minha Roda 'stá Parada私のホイールは
止まっている
こちら
Crédito
Arnaldo Carvalho (bateria, caixa, percussões diversas, voz solo, coros)
Aurélio Malva (gaita de foles, ponteira, bandolim, guitarra eléctrica, viola, voz solo e coros)
José Manuel (viola baixo, coros)
Luis Garção (viola, cavaquinhos, viola beiroa, coros)
Manuel Rocha (violino, coros)
Ricardo Dias (piano, cordas)
Rui Curto (acordeão, concertina, coros)
Santos Simões (viola)

Destaque para as participação especiais de:
Luísa Cruz (voz, solo, em "Faixinha Verde")
Luís Bettencourt (guitarra braguesa, viola baixo e guitarra eléctrica)
Sérgio Mestre (flauta)
感想
前作のようなプログレ的な仕掛けはなく、幾分か落ち着いた印象です。ただし、個々の楽曲は細部まで作りこんであって聴き応えあります。残念なのは、ルイーザが脱退したか何かで、男性がボーカルをとる曲がほとんどである点です。



タイトル邦訳Youtubeリンク歌詞備考

Danças
e Folias


(1995)
踊りとお祭り騒ぎ
01Jota Carvalhesa人名?こちら
02Chula de Pausファウルスティックなし
03Mi Morena私の茶色(?)こちらあり
04Campanitas de Toledoトレドの鐘こちら
05A Fofaかわいい人こちら
06Mazurcaマズルカこちら
07Moda da Zamburraザンブラのモードこちら
08O Mineiro鉱山労働者こちら
09Fraile Cornudo角の修道士なし
10Choteこちら
11Donde vasどこへ行くこちらあり
Crédito
Arnaldo Carvalho (percussões tradicionais e coros)
Aurélio Malva (voz, acústica, viola braguesa, bandolim, gaita de foles, ponteira e coros)
Joaquim Teles (bateria e percussões tradicionais)
José Tovim (baixo eléctrico e coros)
Luís Garção Nunes (viola beiroa, cavaquinho e coros)
Manuel Rocha (violino e coros)
Ricardo Jesus Dias (piano, sintetizador, acordeão, gaita-de-foles, ponteira, pífaro de lata e coros)
Rui Curto (acordeão, concertina, harmónio e coros)

os quais contaram, ainda, com um elenco de luxo, de músicos convidados
(André Sousa Machado, António Pinto, José Medeiros, Jorge Reis, Margarida Miranda, Pedro Jóia e Tom´s Pimentel).
感想
前作までの流れを踏襲した出来栄えです。叙情的な歌ものと軽快なインストものが交互に流れる感じです。そして、Margaridaという女性Voが加わることによって、前作にはなかった哀愁味たっぷりのバラードが生まれました。「Mi Morena」と「Donde vas」です。女性Voが短調のメロディを切々と唄いあげた後、弦楽器や管楽器のソロ演奏がさらに雰囲気を高めていくというもので、BVJ節とでも呼びたい程に作風がバッチリ決まってます。
CDのクレジットを見ると、この凝ったアレンジは Ricardo Jesus Dias の加入に拠るところが大きいみたいです。



タイトル邦訳Youtubeリンク歌詞備考

Novas Vos Trago


(1998)
05Parto Em Terras Distantes遠い地での分娩こちら歌:Margarida Miranda
09Parto Em Terras Distantes
(2a Versao)
遠い地での分娩(Ver.2)こちら歌:Lena d'Agua &
  Margarida Miranda
感想
1998年発売のコンピレーションものです。Brigada Victor Jara は2曲で参加しています。いずれも変拍子を駆使した素晴らしい楽曲です。クレジットを見ると、オリジナル曲のようです。



タイトル邦訳Youtubeリンク歌詞備考

Ceia Louca


(2006)
狂気の晩餐
01Chamarrita Zaragateiraなしサンタマリア島の民謡。
歌:Jorge Palma
02Tirióniこちらトラス・オス・モンテスの民謡。
歌:Manuela Azevedo
03Lenga-Lengaマントラなしテルセイラ島の民謡。
歌:Carlos Medeiros
04Li-la-réなしトラス・オス・モンテスの民謡。
歌:Vitorino Salomé
05Moda do Pastor牧師のモードこちらトラス・オス・モンテスの民謡。
歌:Lena D'Agua
06Cantiga Bailada小唄が踊ったこちらあり5th1曲目のリメイク。
歌:Catarina Moura、
Segue-me a Capela
07Embalo 勢いなしマデイラ州の民謡。
歌:Cristina Branco
08A Vida do Caracol カタツムリの生活こちらテルセイラ島の民謡。
歌:Carlos Medeiros
09Meninas vamos à Murta 女の子がギンバイカに行くなしベイラバイシャの民謡。
歌:Rita Marques
10Durme おやすみこちらありセファルディムの子守唄。
歌:Catarina Moura
11Romance de D.Mariana D.マリアナのロマンスこちらアルガルベの民謡。
歌:Janita Salomé
12Arruada こちらオリジナル曲。軽快なインスト。
13Rosinha こちらトラス・オス・モンテスの民謡。
歌:Carlos do Carmo
Crédito
Arnaldo Carvalho (percussões tradicionais e coros)
Aurélio Malva (guitarra acústica, viola braguesa, bandolim, gaita de foles, e coros)
Catarina Moura (Voz solo em "durme" e "cantiga bailada")
José Tovim (baixo acústico) Luís Garção Nunes (viola beiroa, cavaquinho viola toeira e coros)
Manuel Rocha (violino e coros)
Joaquim Teles(Quine) (bateria, percussão, e coros)
Ricardo J. Dias (piano, acordeão, gaita-de-foles, percussões tradictionais e coros)
Rui Curto (acordeão e coros)
他、ゲスト多数。
感想
一曲ごとにボーカルの人を呼んで作られた作品みたいです。軽快なインスト、BVJ流泣きのバラード、ピアノだけのファドっぽいバラードとバラエティに富んだ内容になってます。円熟味を感じます。
間にコンピやリメイクのアルバムがあったとはいえ、オリジナルは11年ぶりの作品になります。前作で美しい声を聴かせた Margarida はバンドを去ったようです。でも代わりに Catarina というこれまた美しい声の女性ボーカルが加わりました。画像検索でよくヒットするメンバー写真の、体格のいい女の人です。この人が歌っている「Cantiga Bailada」と「Durme」が白眉だと思います。


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