- ■ シーズン前
- アロンソは1年でルノーに復帰することになった。中嶋一貴がウィリアムズからのフル参戦を果たすことになった。彼は、中嶋悟の息子である。他に、ネルソン・ピケの息子もルノーからデビューする。トロ・ロッソの新人、S.ブルデー(S.Bourdais)という名前は、ボーデと表記されることもある。
- スーパーアグリの参戦が決まったのは、開幕の一週間前ほどのことだった。フォース・インディアとは、インドの実業家、ビジェイ・マリヤらがオーナーのチーム。代表は引き続き、コリン・コレスが務める。
- 主なレギュレーション変更に、「トラクション・コントロールの禁止=ECUの共通化」「ギヤボックスの4戦連続の使用」「予選の時間配分の変更」「予選3回目の燃料返還の撤廃」などがある。
- フジテレビの地上波は、テーマ曲は去年と同じで、アニメーションが無くなった。
チーム/マシン名 |
エンジン |
ドライバー |
前年は? |
タイヤ |
フェラーリ F2008 |
フェラーリ(V8) |
1、キミ・ライコネン 2、フェリペ・マッサ |
残留 残留 |
BS |
BMW F1.08 |
BMW(V8) |
3、ニック・ハイドフェルド 4、ロザート・クビサ |
残留 残留 |
BS |
ルノー R28 |
ルノー(V8) |
5、フェルナンド・アロンソ 6、ネルソン・ピケJr |
マクラーレン 新人 |
BS |
ウィリアムズ FW30 |
トヨタ(V8) |
7、ニコ・ロズベルグ 8、中嶋一貴 |
残留 新人 |
BS |
レッドブル RB4 |
ルノー(V8) |
9、デビッド・クルサード 10、マーク・ウェバー |
残留 残留 |
BS |
トヨタ TF108 |
トヨタ(V8) |
11、ヤルノ・トゥルーリ 12、ティモ・グロック |
残留 新人 |
BS |
トロ・ロッソ STR2B |
フェラーリ(V8) |
14、セバスチャン・ブルデー 15、セバスチャン・ベッテル |
新人 ザウバー、トロ・ロッソ |
BS |
ホンダ RA108 |
ホンダ(V8) |
16、ジェンソン・バトン 17、ルーベンス・バリチェロ |
残留 残留 |
BS |
スーパー・アグリ |
ホンダ(V8) |
18、佐藤 琢磨 19、アンソニー・デビッドソン |
残留 残留 |
BS |
フォース・インディア VJM01 |
フェラーリ(V8) |
20、エイドリアン・スーティル 21、ジャンカルロ・フィジケラ |
残留 ルノー |
BS |
マクラーレン MP4/23 |
メルセデス(V8) |
22、ルイス・ハミルトン 23、ヘイキ・コバライネン |
残留 ルノー |
BS |
- ■ 3月16日 第1戦 オーストラリア
- ライコネンが予選で燃圧系トラブルに見舞われ、15番手に留まった。グロックがギヤ交換と進路妨害で10グリッド降格、スーティルがエンジン交換でピットスタートとなった。予選トップスリーには、ここ1、2年にデビューした者が並んだ。
- スタート1コーナーで多重衝突が起こり、いきなりセーフティーカー出動となった。ベッテル、母国GPのウェバーら中団の5台が消えた。マッサもコバライネンとの争いでウイングを傷め、ピットインを余儀なくされた。中嶋一貴もピットインした。佐藤琢磨が11位にまで順位をあげた。
- ハミルトン、クビサ、コバライネン、ハイドフェルド、N.ロズベルグ、トゥルーリ、バリチェロ、ライコネンの順でレースが再開。N.ロズベルグがハイドフェルドを抜いた。スーティルがマシンを収めた。
- 16周目、クビサがピットイン。19周目、ライコネンがバリチェロを抜いた。20周目、トゥルーリがピットでレースを終えた。21周目、同時のピット作業でN.ロズベルグとハイドフェルドの順位が逆転した。23周目、ハミルトン、コバライネン、ライコネン、クビサ、ハイドフェルド、アロンソ、N.ロズベルグ、バリチェロ。
- 25周目、マッサとクルサードが1コーナーで激突し、2回目のSC出動となった。ライコネンが一瞬ピットに入りかけた。安全走行中、給油は一時的に規制される。規制解除後、クビサ、アロンソ、グロック、中嶋一貴らがピットインした。今季は、タイヤを温めるためのジグザグ走行が禁止されている。
- レース再開の29周目、ライコネンがコバライネンに襲い掛かるも、コースアウトして最下位に転落した。時を同じくしてマッサがエンジントラブルでリタイヤ。続けて、ピケJr.、佐藤琢磨もトラブルでリタイヤした。ハミルトン、コバライネン、ハイドフェルド、N.ロズベルグ、バリチェロ、ブルデー、クビサ、アロンソ。コース上に残っているのは11台になった。
- 43周目、ライコネンがグロックに襲い掛かるも、再びコースアウトしてスピンした。直後、そのグロックもコースアウト、芝生を跳ねて大クラッシュとなった。パーツが飛び散り、ピットインを済ませたハミルトン以外は微妙な時間帯の状態で、3回目のSC出動となった。ここで、ベテランのバリチェロが三つのチョンボを犯した。規制中にも関わらずピットインし、ホースを引きずったまま発車、さらにピットレーン出口の赤信号を無視して、最終的に失格となった。規制解除後、コバライネンとアロンソがピットインし、止む無く順位を落とした。
- 49周目にレース再開。…の直前に中嶋一貴がクビサに追突し、クビサをリタイヤに追いやった。コバライネンがライコネンを抜き、その二人をアロンソが抜いた。まだまだ波乱は続き、残り4周でライコネンがリタイヤ、残り2周で4位走行中のブルデーもリタイヤとなった。最後、アロンソとコバライネンが抜きつ抜かれつのバトルを演じた。
- ハミルトンは、またもや荒れた展開を無難に走りきり、開幕戦を制した。N.ロズベルグは初の表彰台に立ち、コバライネンは初のファステストラップを記録した。中嶋一貴とS.ブルデーが初入賞を遂げた。
- ■ 3月23日 第2戦 マレーシア
- 中嶋一貴は、前GPでのクビサへの衝突の責任で10グリッド降格が決まっている。予選で、マクラーレン勢が2台とも進路妨害をしたとして5グリッド降格となった。
- 決勝スタートは、マッサがライコネンを牽制しながら1コーナーに進んだ。N.ロズベルグとグロックの接触があった。ブルデーがスピンしてリタイヤ。グロックもマシンをガレージに収めた。マッサ、ライコネン、クビサ、ウェバー、ハミルトン、トゥルーリ、コバライネン、クルサードの順。
- 4〜5周目にかけて、クルサードとアロンソ、ハイドフェルドが8番手を争い、一瞬の攻防によってハイドフェルド、アロンソ、クルサードの順になった。6周目、スーティルがリタイヤ。フェラーリ勢が下位を引き離していく。
- 17周目、ウェバーから上位陣がピットインを開始した。先にマッサが入った後、ライコネンが飛ばしに飛ばして、ピット作業後に先頭に立った。ハミルトンのタイヤ交換が上手くいかず、順位を落とした。26周目、ライコネン、マッサ、クビサ、コバライネン、トゥルーリ、ウェバー、ハミルトン、ハイドフェルド。
- 31周目、マッサが単独スピンによってリタイヤし、2戦連続で無得点となった。ウィリアムズが、2台続けてのピットインを敢行した。39周目、ベッテルがリタイヤした。マクラーレン勢の第2ステイントが長く、ハミルトンが順位をあげた。中嶋一貴は一時13位まで順位をあげたが、40周目に単独スピンを喫して順位を落とした。
- 終盤、ハミルトンはトゥルーリに1秒差まで詰めた。バリチェロがピットレーン速度違反を犯した。
- ライコネンが王者らしい磐石の勝利を見せた。残り1周という場面で、ハイドフェルドが初のFLを記録した。136戦目(9年目)のFLで、史上最遅のものである。チームとしても、ザウバーの頃からを数えても、初のFLである。
- ■ 4月6日 第3戦 バーレーン
- 予選。クビサが初のPPを決めた。BMWチームとしても、ポーランド人としても初の快挙となった。
- 決勝。強風で砂塵が飛び交い、レーシングラインがなかなかハッキリしない。スタートでマッサが抜け出した。また、ハミルトンが発車に失敗し、さらにアロンソに追突してピットイン、下位に転落した。
- スタートから数周は、順位変動が頻繁に起きた。ラインが定まらないため、中団以下で多くが挙動を失い、スピン・衝突が起きた。ベッテルが0周リタイヤした。ライコネンは1周目3位、3周目にクビサを抜いて2位へ、つまりフェラーリがワンツー体制を築き上げた。ハイドフェルドも2台をオーバーテイクした。5周目、マッサ、ライコネン、クビサ、ハイドフェルド、コバライネン、トゥルーリ、N.ロズベルグ、ウェバー。
- 17周目、クビサから上位陣がピットインをはじめた。クビサはアウトラップで少しコースオフした。クルサードがバトンを無理にブロックし、後者がリタイヤした。マッサがライコネンに5秒程、ライコネンがクビサに2秒程の差をつけ、安定したペースで走る。以下、ハイドフェルド、コバライネン、トゥルーリ、ウェバー、N.ロズベルグ。
- 中嶋一貴が唯一、ワンストップ作戦に挑戦した。2回目のピットインの攻防によって、アロンソがグロックに抜かれた。
- そのままマッサが逃げ切り、開幕2戦での不調を吹き飛ばすような快勝を見せた。
- ■ 4月27日 第4戦 スペイン
- 奇数グリッドの者がスタートで順位をあげた。ライコネン、マッサというフェラーリ勢に、アロンソ、ハミルトン、クビサ、コバライネン、ハイドフェルド、ウェバーが続く。スーティルとベッテルの接触でセーフティーカーが出動した。7周目にも、ブルデーとピケJr.の接触があった。この2ケースとも両者リタイヤとなった。
- 22周目、コバライネンが一晩の入院を要するほどの大クラッシュを起した。2度目のSC導入となった。このとき、ハイドフェルドがタイミングの悪いピットインを行い、ペナルティを受けて後退した。
- 35周目、アロンソがエンジンブローによってリタイヤに追い込まれた。42周目にはN.ロズベルグもリタイヤ。終盤、トゥルーリが連絡ミスで不必要なピットインを行なった。これらの事態によって、バトンや中嶋一貴らが順位をあげ、入賞を果たした。レースは、フェラーリのみ何のトラブルにも遭わず、2戦連続のワンツーフィニッシュを決めた。
- ■ 5月11日 第5戦 トルコ
- 開幕前から資金繰りに苦しむスーパーアグリ…。5月6日、苦汁の決断を下し、F1を撤退することになった。予選1回目、2回目での脱落は5台ずつに変わった。
- バリチェロの最多出走記録更新が騒がれている。当サイトの考え方では、1998年ベルギーGPでのクラッシュ、2002年スペインGPやフランスGPでのピットスタート失敗を「出走」とは数えないため、記録更新にはまだ3戦かかる。
- 決勝スタート直後、フィジケラが一貴に乗り上げ、両者リタイヤとなった。ライコネンとコバライネンにも軽い接触があった。コバライネンはここでパンクを起こし、ピットイン、初のフロントロー・スタートが台無しになった。セーフティーカーが出動した。
- 3周目にレースが再開され、ライコネンがアロンソをパス。マッサ、ハミルトン、クビサ、ライコネン、アロンソ、ウェバー、ハイドフェルド、N.ロズベルグで、大まかな隊列が整う。
- 12周目過ぎ、ハミルトンがマッサに肉薄していった。そのまま16周目にピットインし、軽い燃料で第2ステイントに向った。ライコネンがピット作業によって、クビサを抜いた。
- ハミルトンはやはり3ストップ作戦だった。24周目、マッサをオーバーテイクし、先頭に立つ。2/3のピットインではライコネンの真後ろ、45周目、最後のピットインではライコネンの真ん前に戻った。
- レースは、マッサがポール・トゥ・ウィンで制した。これは3年連続のことである。3年連続で同一サーキットをPPから制するというのは、これまで、、、
- M.シューマッハ…カタロニア(2001〜2004、4年連続)
- M.シューマッハ…鈴鹿(2000〜2002)
- A.セナ…モンテカルロ(1989〜1991)
- A.セナ…ホッケンハイム(1988〜1990)
- A.セナ…スパ・フランコルシャン(1988〜1991、4年連続)
- J.クラーク…シルバーストン(1963〜1967、1年おきに開催)
- J-M.ファンジオ…ニュルブルクリンク(1954〜1958、途中1年休みを挟んで)
このような例があり、マッサは凄まじいメンバーの中に名を連ねることになった。ちなみに、次戦モナコでは、アロンソに同記録の達成が、一応、懸かっている。
- ■ 5月25日 第6戦 モナコ
- クルサードとスーティルがギヤボックス交換で5グリッド降格となった。
- 天候が怪しい。モナコでは'97年以来のウェットレースとなった。雨足が中途半端で、スタンダード・ウェットタイヤかエクストリーム・ウェットタイヤかの選択が難しい。
- コバライネンがフォーメーションラップでスタートできず、最後尾に回った。スタートでライコネンが遅れる。N.ロズベルグ、バトンがそれぞれ軽く接触を起こし、後者はピットインした。マッサ、ハミルトン、ライコネン、クビサ、アロンソ、N.ロズベルグ、トゥルーリ、グロック。
- 公道での水煙は、より強く視界をさえぎる。7〜8周目、ハミルトンとアロンソが相次いでクラッシュし、3輪になってピットインした。直後、クルサードとブルデーの事故処理のためにセーフティーカーが出動する。アロンソが調度よくEウェットタイヤに交換した。ハミルトンも、ピットインで後退なのに直後SC出動で差を縮める、という幸運に恵まれた。
- 11周目、マッサ、ライコネン、クビサ、ハミルトン、ハイドフェルド、ウェバー、アロンソ、一貴の順でレースが再開した。ここで、ライコネンがスタート前にタイヤ選択を迷いすぎたことで、ドライブスルー・ペナルティを科せられた。14周目、元気なアロンソがローズヘアピンでハイドフェルドの側面に突っ込み、一時、同カーブは詰まった血管のようにマシンで埋め尽くされた。16周目、マッサがサンデボーデでオーバーランし、クビサが先頭に立った。
- しばらくすると雨が止んできた。23周目、クビサ、マッサ、ハミルトン、ライコネン、ウェバー、スーティル、トゥルーリの順。26周目、クビサがピットイン(Sウェットタイヤ)。ライコネンがサンデボーデでオーバーランし、フロントウイングを傷めてピットインした。33周目、マッサがピットイン(Sウェットタイヤ)。通常の1/2のピットインが行なわれる中、中団でワンストップ作戦を選んだ者たちが、上位に浮上していく。スーティルは、黄旗区間の追い越しがありつつも、5位まで浮上した。34周目、ハミルトン、マッサ、クビサ、ウェバー、スーティル、ライコネン、トゥルーリ、バリチェロ。
- 36周目、フィジケラがトラブルでマシンを降りた。40周をすぎると、青い空が覗きはじめ、路面が乾いてきた。ルノー勢、ウェバー、バトンらが次々とドライタイヤに交換した。50周目、ピケJr.がサンデボーデでクラッシュしてリタイヤ。54周目、クビサ、一貴がドライタイヤへ交換。このとき一貴のピット作業に時間がかかった。続けて入ろうとしたN.ロズベルグが、隣をスルーすることを強いられた。55周目、ハミルトンが順当にドライタイヤに交換した。ハミルトン、マッサ、クビサ、スーティル、ライコネン、ウェバー、ベッテル、バリチェロ。
- 2/2のピットインでマッサがクビサに抜かれた。62周目、N.ロズベルグが派手なクラッシュを演じ、SCが再出動、差がなくなった。67周目(残り11分ほど)でレースが再開される。ライコネンに焦りがあったか、トンネル後に挙動を失い、スーティルに追突した。ライコネンは2度目のウイング交換、スーティルはスタッフに慰められながら無念のリタイヤとなった。
- 終盤、ファステストラップが次々と更新されていった。2時間ルールが適用され、76周でレースが終わった。ハミルトンの今季2勝目である。マッサ、ハミルトン、クビサの予選上位3名が常に1〜3位を占め、3人のうち誰が勝ってもおかしくない展開であった。荒れた展開が味方したのが、ハミルトンであった。結果から見ると、彼のタイヤ交換(7周目Sウェットタイヤと給油、直後のSC出動、55周目ドライ)が最も有効なタイミングだった。クビサは目立ったミスが唯一なかったのに2位に甘んじることになった。
- ■ 6月8日 第7戦 カナダ
- 路面が剥がれるトラブルが発生し、決勝直前まで補修が続けられた。ベッテルとバトンがピットスタートを選んだ。
- スタートはほぼ順調に進み、ハミルトン、クビサ、ライコネン、N.ロズベルグ、アロンソ、マッサ、バリチェロ、コバライネンの順になった。5周目までにバリチェロが二つ順位を落とし、7、8位がコバライネン、ハイドフェルドになった。
- N.ピケJr.がトヨタ勢を抜いた。ハミルトンが独走し、7秒差を築き上げた頃、スーティルのマシンが路上で止まった。やや遅れてセーフティーカーが導入された(18周目)。カナダGPのSCは4年連続のことである。
- そして今年のカナダGPも、SC・給油・信号の三点セットがレースの行方に大きな影響を与えた。規制解除で上位5台が揃ってピットに向かい、クビサ、ライコネン、ハミルトン、N.ロズベルグの順で作業が終わった。彼らは急いでレースに復帰せんとするも、ピットレーン出口での信号待ちの間にクビサを除く3台に玉突き衝突事故が起きた。ポイントリーダーの二人が唐突にレースから消えた。
- ダメージを負ったN.ロズベルグと給油のできなかったマッサも、再度ピットインを強いられた。21周目、ハイドフェルド、バリチェロ、中嶋一貴、ウェバー、クルサード、トゥルーリ、グロック、フィジケラの順でレースが再開した。彼らは皆、重い燃料でレースを開始した者たちであり、ピット戦略(タイミング、回数)に注目が集まった。
- 遅いバリチェロを中嶋一貴が抜けない。28周目、N.ピケJr.が単独スピンを演じた。翌周、ハイドフェルドとウェバーがピットイン(1/1)した。31周目、重い状態のハイドフェルドをクビサがパス。34周目、中嶋一貴がピットイン(1/2)。35周目、バリチェロがピットイン(1/1)。36周目、クルサードとベッテルがピットイン(1/1)。38周目、トゥルーリ、グロック、クビサ、ハイドフェルド、アロンソ、クルサード、バリチェロ、コバライネンの順になった。
- 39周目、トゥルーリがピットイン。42周目、N.ピケJr.がリタイヤした。グロックもピットイン。45周目頃、ハイドフェルドとアロンソが激しく順位を争った。しかし、アロンソはマシントラブルからクラッシュを喫し、リタイヤとなった。この頃、クビサ、ハイドフェルド、クルサード、バリチェロ、コバライネン、マッサ、バトン、中嶋一貴の順になった。「クビサ、勝つためにはプッシュだ」との無線が入った。
- 48周目、中嶋一貴がバトンとの争いでウイングを傷め、ピットロードでクラッシュした。49周目、クビサがピットインし、トップで復帰する。52周目、バリチェロ・コバライネン・マッサが、ターン10の攻防で、マッサ・コバライネン・バリチェロの順位になった。直後、フィジケラが単独スピンで路上に止まった。
- 再びSC出動の可能性もあり、マッサらが早めに2/2のピットインを行なった。これによりトヨタ勢が再浮上した。クビサ、ハイドフェルド、クルサード、バリチェロ、グロック、トゥルーリ、マッサ、ベッテル。60周目、バリチェロがコースオフしてトヨタ勢が前に出た。終了直前、トヨタ勢とマッサ、バリチェロ・ベッテル・コバライネンが激しく順位を争い、そのままチェッカーを迎えた。
- 7人のドライバーが交代でラップリーダーに踊り出る、荒れた一戦となった。ラップリーダーが7人以上とは、'75年イギリスGP以来のことである。クビサは、一年前に大クラッシュを負った地で、自身初、ポーランド人初、BMWチームにとっても初という、大きな一勝をあげた。
- ■ 6月22日 第8戦 フランス
- トヨタの初代代表であるO.アンダーソンがラリーで事故死し、トヨタのメンバーは腕に喪章をつけて本戦に臨んだ。
- 前GPでのピットレーン追突の件で、ハミルトンとN.ロズベルグに10グリッド降格のペナルティが科せられている。さらに、R.バリチェロがギヤボックスの交換で、H.コバライネンが予選での進路妨害のため、5グリッド降格となっている。
- スタートでトゥルーリが3位に浮上した。中団から追い上げたいハミルトンだったが、シケイン不通過を起こし、後にドライブスルーペナルティを受けた。ライコネン、マッサ、トゥルーリ、アロンソ、クビサ、グロック、ウェバー、N.ピケJr.。
- 15周目のアロンソから上位陣のピットインが始まった。19周目、バトンがリタイヤした。クビサがアロンソの前に出た。30周目、ライコネン、マッサ、トゥルーリ、クビサ、アロンソ、ウェバー、コバライネン、ピケJr.。
- レース半ば、ライコネンのマシンのエキゾーストパイプが破損し、ペースが悪くなった。39周目、マッサがライコネンの前に出た。42周目のアロンソから2/2のピットインが始まった。50周すぎ、小雨が降ってきた。クビサのピットアウト後のタイムが伸びず、コバライネンに抜かれた。
- 終盤、トゥルーリとコバライネン、クビサが激しい3位争いを演じた。レースは、マッサ、ライコネンの順でフェラーリのワンツーフィニッシュとなった。
- ■ 7月6日 第9戦 イギリス
- 雨も降った予選で、コバライネンが初のPPを奪った。レッドブルも初のフロントローにつけた。決勝前、N.ロズベルグがピットスタートを選んだ。
- 決勝も雨となった。全車がスタンダード・ウェットタイヤを装着した。スタートでハミルトンがトップに立った。しかし、コバライネンがすぐさま奪い返した。ウェバーとマッサがスピンし、大きく後退した。
- 5周目、ハミルトンが再び先頭に立ち、後続を引き離しはじめた。10周目、コバライネンがスピンし、ライコネンが2位に浮上した。さらにトップとの差を詰めていった。ハミルトン、ライコネン、コバライネン、アロンソ、ハイドフェルド、ピケJr.、トゥルーリ、クビサ。
- 1/2のピットインのタイミングに合わせて、雨足が不安定になった。フェラーリ勢とアロンソはタイヤを交換せず、ペースが悪くなった。読みは失敗だった。23周目、中嶋一貴がスピンした。29周目、ハイドフェルドがライコネンとコバライネンをごぼう抜きした。31周目、ハミルトン、ハイドフェルド、コバライネン、ライコネン、クビサ、ピケJr.、バリチェロ、グロック。
- 32周目、たまらずライコネンが新品ウェットタイヤに交換し、ポイント圏外に落ちた。35周目、クビサがコバライネンをオーバーテイクした。直後、コバライネンはピットイン(Sウェット)した。
- ここで大雨になった。ホンダとウィリアムズは2台同時にエクストリーム・ウェットタイヤに交換した。35〜40周目にかけて、あちこちでスピン、オーバーランが発生し、ピケJr.、バトン、クビサがリタイヤとなった。フェラーリ勢も何度もクルクル回ってそのたびにタイムを落とした。38周目、ハミルトンとハイドフェルドがピットイン(Sウェットに)。Eウェットタイヤ勢は他のタイヤより10秒以上も速く、バリチェロが瞬く間に2位に浮上した。N.ロズベルグがグロックに追突して、Fウイングを交換する羽目に陥った。
- 47周目、バリチェロがタイヤ交換(Sウェット)した。終盤、アロンソの後方にコバライネン、中嶋一貴、トゥルーリが迫ってきて接近戦になった。
- ハミルトンは、ここ2戦の評価を覆す手強さを見せ、ポイントリーダーの座に戻ってきた。ハイドフェルドは通算6回目の2位。バリチェロはフェラーリ時代以来となる表彰台に立った。ライコネンは6戦連続FL。ここまで誰も連勝していない。ランキング上位の者は数回ずつノーポイントを喫していて、昨年の第9戦時点と比べると、4人とも点の取りこぼしが多い気がする。
- ■ 7月20日 第10戦 ドイツ
- ハミルトンが好調で、予選から第一ステイントにかけて独走しそうな勢いを見せた。以下、マッサ、コバライネン、クビサ、トゥルーリ、アロンソ、ライコネン、ベッテルが続いた。4周目、ライコネンがアロンソをオーバーテイクした。
- 18周目のハミルトンから、上位陣のピットストップが始まった。予選11番手以下に、燃料を重めに積んで1/2のピットストップを遅らせ、上位に浮上した者がいた。30周目、ハミルトン、マッサ、コバライネン、クビサ、ライコネン、トゥルーリ、グロック、アロンソ。
- 36周目、グロックが大クラッシュを起こした。腰を痛めて動けない。セーフティーカーが出動する事態となった。38周目、規制解除で皆が一斉にピットに飛び込んだ。マクラーレンはハミルトンをピットに入れないという不可解な作戦を採った。40周目、ハミルトン、ハイドフェルド、ピケJr.、マッサ、クビサ、コバライネン、トゥルーリ、ベッテル。上位3台が2/2のピットインを行なっていない。M.ウェバーのマシンが白煙を上げてリタイヤとなった。
- 42周目にレースが再開した。翌周、コバライネンがクビサをオーバーテイクした。ライコネンも自力で7位にまで浮上した。50周目、バリチェロとクルサードが接触し、前者がリタイヤに追い込まれた。そして、ハミルトンがピットインした。5位でコースに戻る。コバライネンが順位を譲った。ハイドフェルド、ピケJr.、マッサ、ハミルトン、コバライネン、クビサ、ライコネン、トゥルーリ。
- 53周目、ハイドフェルドがピットインし、N.ピケJr.が首位に立った。ピケJr.は、唯一ワンストップ作戦を選び、安全走行が始まる直前の35周目にピットインしていた。何もかもが当たったのだ。自己ベストのタイムを続けて、首位を快走する。
- 57周目、パラボリカでハミルトンがマッサに襲い掛かった。マッサも食い下がったが、順位が逆転した。ハミルトンは攻めに攻め、ピケJr.との差を詰めていく。60周目、ハミルトンが首位に返り咲いた。ライコネンもクビサをオーバーテイクした。
- レース後、フィジケラにセーフティーカー出動で規制中にピット作業を行なったとして25秒が加算され、下位の順位が変わった。ハミルトンがチームの作戦ミスをものともしない速さを見せ、今季初の連勝を達成した。メルセデス・エンジンが母国で勝つのは、1998年以来のことになる。ピケJr.が初の表彰台に立った。
- ■ 8月3日 第11戦 ハンガリー
- S.ブルデーが予選での進路妨害のため、5グリッド降格となった。
- 決勝スタートで、マッサが猛烈にアタック、スモークをあげながらアウトから被せていき、先頭に立った。マッサ、ハミルトン、コバライネン、グロック、クビサ、アロンソ、ライコネン、ウェバーの順でレースが進む。
- 18周目、マッサらがピットインをはじめた。23周目、ベッテルがガレージにマシンを収めた。マッサ、ハミルトン、コバライネン、グロック、アロンソ、ライコネン、ピケJr.、トゥルーリ。ピット作業のとき、数台のマシンから炎があがった。グロックの作業でも若干のミスがあった。
- 第2ステイントでもマッサは差を広げる。41周目、ハミルトンにタイヤトラブルが発生、1周するのに2分もかけてピットにたどり着いた。タイヤ交換してコースに戻るとポイント圏外にまで脱落していた。
- 2/2のピット作業のとき、ブルデーの給油口からまた炎があがって、再び消火剤まみれになった。ライコネンがスパートして、3位グロックの背後に迫った。
- 先頭のマッサは安泰でペースを緩めた。しかし残り3周というところで、マシンから白煙が上がり、ストレート上でマシンを降りた。さっきまでの興奮状態が行き場を失い、彼は頭を抱えた。これを見てライコネンもペースを大幅に落とした。
- 勝者はH.コバライネン。初優勝であり、F1の歴史で100人目(インディ500を含む)のウィナーとなった。前GPで激しいクラッシュに遭ったグロックも、初めての表彰台に立った。
- ■ 8月24日 第12戦 ヨーロッパ
- スペインのバレンシアで、公道を使って、初のF1が開催された。今季はスペインで2回目のF1となる。
- バリチェロとスーティルがピットスタートを選んだ。
- スタートでライコネンが順位を落とした。中嶋一貴がアロンソに追突し、共にピットに駆け込むことになった。地元の英雄アロンソは0周リタイヤとなった。マッサ、ハミルトン、クビサ、コバライネン、ライコネン、ベッテル、トゥルーリ、N.ロズベルグの順でレースが進む。
- 15周目にマッサが、数周後にハミルトンがピットインした。重くなったマッサは、ちょうどライコネンの前で戻り、軽いライコネンのペースをしばらく抑える形になった。
- 第2ステイントでは、マッサがハミルトンとの少しずつ差を広げた。グロックがワンストップ作戦で得点圏内に浮上した。マッサ、ハミルトン、クビサ、コバライネン、グロック、ライコネン、トゥルーリ、ベッテル。
- フェラーリの2度目のピット作業では、ちょっとしたハプニングが続いた。マッサがスーティルと並んでピットロードを走ったり、ライコネンが発車のタイミングを誤り、メカニックが巻き込まれて怪我を負ったりした。フェラーリは、ロリポップの代わりに信号を使っている。メカニックがボタンを押すと青になって、ドライバーが発進する。このシステムが影響したのかもしれない。
- この間、スーティルがクラッシュしてリタイヤした。また順位を落としたライコネンは、気を取り直してトゥルーリを追いかけた。しかし46周目、マシンから大きな白煙があがってリタイヤとなった。
- レースはマッサの快勝で終わった。ベッテルの予選6位はトロ・ロッソの通算での最高位である。決勝のファステストラップも6位で、この初開催レースにおいて、ベッテルは立派な中堅チームのパフォーマンスを見せた。
- ■ 9月7日 第13戦 ベルギー
- 雨が止んで、路面が乾いていく状況下でレースが始まった。コバライネンがスタートを大失敗し、得点圏外まで脱落した。ライコネンが2位に浮上した。2周目、先頭ハミルトンがスピンすると、ライコネンが一気に差を詰め、先頭に踊り出た。ライコネン、ハミルトン、マッサ、アロンソ、ブルデー、ウェバー、クビサ、ピケJr.の順になった。先頭の2台が1秒以内の接近戦を演じた。
- 一時、得点圏内まで追い上げたコバライネンだったが、ウェバーと接触してドライブスルーペナルティを受けた。その間の11周目、12周目に、ハミルトン、ライコネンがピットインした。第2ステイントでは、ライコネンが5〜6秒の差を維持した。以下、マッサ、アロンソ、ブルデー、クビサ、ベッテル、ハイドフェルドと続いた。14周目にN.ピケJr.、20周目にバリチェロがリタイヤした。
- 25周目、先頭争いの二人が同時にピットインしたが、順位はもちろん変わらない。ウィリアムズ勢がワンストップ作戦を採った。ライコネンは、ここまでスパを3連覇中で、現役で勝っているのは彼のみである。今季、4月以降、勝利をあげていない彼にとって、復活劇の舞台としては申し分ないのだが、空模様の変化と共に、シナリオも大きく変わっていった。
- まず、第3ステイントになって、低温でのタイヤの性能の差からか、ハミルトンが徐々に差を詰めだした。そして、雨が降り出すという予報が発表された。マッサが二人の背後に迫ってきた。38周目頃、霧状の雨が降ってきた。40周目、先頭争いの二人の差が1秒以内に縮まった。
- そして41周目が終わろうかという頃、雨が本降りになった。全車、ラップタイムが数十秒落ちた。先頭争いが一気に激化して、最終コーナーにて、ハミルトンがライコネンに襲い掛かった。ここでは降すことができず、ハミルトンはシケインをショートカットしつつ機会をうかがう。ムム!? そして間髪いれず、ホームストレートから1コーナーにかけての攻防で首位の座に返り咲いた。後ろでは、ハイドフェルド、アロンソらが、ピットインしてタイヤ交換する道を選んだ。マッサはドライタイヤのまま走っている。
- 42周目、挙動を大きく乱しながら、先頭争いが続いた。ライコネンは一瞬だけ抜き返したものの、直後にクラッシュ! 2戦連続無得点でレースを終える結果になった。…しばらくして、ハミルトンが先頭でチェッカーが振られた。コバライネンもリタイヤした。ハイドフェルドがペースをあげ、最終周に4台をごぼう抜きした。
- 記者会見で、ハミルトンは「最後まで分からないレースになった」と語ったが、これはその通りであった。上記の「ムム!?」の部分前後でのハミルトンの行動が問題となり、25秒加算のペナルティが科されて彼は3位に後退した。シケインをショートカットして相手を抜くことは許されない。止むを得ずそうなっても、相手に元の順位を譲らなくてはならない。そして改めて攻め直すわけだが、そのタイミングが短すぎたのである。また、グロックにも黄旗区間での追い越しのため同じペナルティが科せられ、ウェバーと順位が入れ替わった。
- このような、勝負事の世界の厳しさが滲み出た一戦において、勝利は無難に走りきったマッサのものになった。トロ・ロッソがダブル入賞を果たして、コンストラクターの順位をあげた。
- ■ 9月14日 第14戦 イタリア
- 珍しく秋のモンツァに雨が降った。このため、予選が混乱し、タイトル争いの4人が一斉に下位に沈んだ。ベッテルが史上最年少のPPを決めた。
- 決勝も雨で、モンツァで1976年以来のウェットレースとなった。エクストリーム・ウェットタイヤの装着が認められ、フォーメーションラップが省略され、セーフティーカー先導でレースが始まった。4番手のブルデーがエンジンストールして、ピットで時間をつぶした。
- 3周目に本来のレースが始まった。ベッテル、コバライネン、ウェバー、N.ロズベルグ、マッサ、トゥルーリ、アロンソ、グロック。11周目、ポイント圏外で、ハミルトンとライコネンの順位が入れ替わった。13周目、マッサがN.ロズベルグを抜いた。ハミルトンは次々と追い抜きを見せ、19周目には7位にまで浮上した。
- 一方で、18周目からベッテルをはじめとする上位陣のピットインが始まった。クビサ、アロンソ、ハイドフェルドがワンストップ作戦を選び、上位に浮上した。ハミルトンは一時2位まで上がったが、27周目にピットインして10位から巻き返す。
- 34〜38周目、路面が若干乾いてきて、再びピットインのときを迎えた。各車、タイヤをスタンダード・ウェットに変えた。36周目、マッサがウェバーを抜いた。ハミルトンはマッサのすぐ後ろまで迫ったものの、マッサが粘りを見せて順位を守った。
- 終盤、ライコネンがファステストラップを連発したが、序盤の置いてけぼりが酷すぎて、後の祭りであった。この終盤の高速化によって、ベッテルの初優勝は、最低位FL勝利の記録を大幅に更新することになった。
- そんなことより重大なのは、ベッテルが史上最年少の優勝を更新したことである。トロ・ロッソも初優勝。前身のミナルディ時代のことを思うと、感慨深い。表彰台には、数年前には想像もつかなかったようなメンバーが居並んだ。
- ■ 9月28日 第15戦 シンガポール
- ☆シンガポール…今季三つめの市街地サーキットで、気温を考慮してナイトレースとしてイベントが行なわれる。至る所に街灯が設置され、ドライバーの視界を助ける。また所々、枯葉が舞うところがある。鋭角のコーナーが多く、路面がバンピーなのが特徴。
- 初開催のフリー走行の首位は、1回目ハミルトン、2回目はアロンソ、3回目もアロンソと来た。
- ところが予選でアロンソにマシントラブルが発生し、15位に終わった。ハイドフェルドが予選で進路を妨害したとして、3グリッド降格となった。
- 決勝スタート後、マッサ、ハミルトン、ライコネン、クビサ、ベッテル、グロック、コバライネン、ハイドフェルドの順で固まった。コバライネンとクビサに接触があり、前者の順位が落ちている。タイトル争いの二人は、5周で2.5秒差に開いた。7周目、N.ロズベルグがトゥルーリをオーバーテイクした。
- 14周目、N.ピケJr.がマシンの半分を失うほどの大クラッシュを演じ、セーフティーカーが出動する事態となった。各車給油の時間で、N.ロズベルグとクビサが微妙なタイミングでのピットインを迫られた。また、バリチェロがピットアウト後、スーッと止まってリタイヤした。やがて、規制解除で上位陣がピットインを始めた。そのとき! マッサが燃料ホースをつけたまま発車し、取り外しのため大幅な時間を食った。最下位へ転落となったのは言うまでもない。
- 20周目、N.ロズベルグ、トゥルーリ、フィジケラ、クビサ、アロンソ、ウェバー、クルサード、ハミルトンという順番でレースが再開した。この内、トゥルーリとフィジケラはワンストップ作戦を選んで、ピットインをしなかったため上位に位置している。すぐに、マッサに危険行為に対するドライブスルーペナルティが科された。しばらく経って、N.ロズベルグとクビサにも、規制中の給油に対する10秒ストップのペナルティが科された。そのしばらくの間に先頭のN.ロズベルグは飛ばしに飛ばして6位で復帰した。クビサは最後尾付近での復帰である。
- 28周目、ウェバーがコースオフし翌周にピットでリタイヤとなった。29周目にフィジケラ、33周目にトゥルーリがピットインを行なった。アロンソ、N.ロズベルグ、クルサード、ハミルトン、グロック、ベッテル、ハイドフェルド、トゥルーリという順位になった。37周目、中嶋一貴がトゥルーリをオーバーテイクした。続いてライコネンもトゥルーリを抜いた。
- 42周目、アロンソがピットインして、トップのまま復帰した。直後、ハミルトンがクルサードをオーバーテイクした。50周目、トゥルーリがスローダウンし、ピットでレースを終えた。同周回目、粘ったライコネンがピットインして5位で復帰した。さらに同周回、マッサがスピンしたところを、スーティルが避けようとしてウォールにクラッシュ、SC再出動となった。54周目、アロンソ、N.ロズベルグ、ハミルトン、グロック、ライコネン、ベッテル、ハイドフェルド、クルサードの順位でレースが再開した。アロンソが数周で下位に6秒差をつけ、桁外れの速さを示した。58周目、ライコネンがターン10でクラッシュを演じ、4連続ノーポイントとなるリタイヤを喫した。
- レースは、好調ながら予選で地獄を見たアロンソが歓喜の一勝をあげた。フェラーリはとうとうコンストラクターズ・ポイントの首位の座からも陥落した。また、ハイドフェルドが25戦連続完走の新記録を樹立した。
- 1年後、このレースでのピケJr.のクラッシュは故意のものであるとのニュースが世界中を駆け巡った。好調だったアロンソを何とか前に出させるため、チームの首脳陣がピケJr.に指示したのである。その方法も、クルーには知られることがないよう綿密に計画されたものであり、極めて悪質である。翌年のシート喪失をチラつかせ、強引に要求を呑ませたのであった。そう告発したのはピケJr.自身である。チームには厳しい処分が下ったが、レース結果は変更は加えられなかった。
- ■ 10月12日 第16戦 日本
- 今季は一戦一戦何かしらの波乱が起こっているが、本戦では決勝スタート直後に波乱が起こった。ライコネンがスタートを制し、先頭で1コーナーに飛び込む。ここでハミルトンが無茶なブレ―キングでイン側からオーバーランして行き、行き場を失ったライコネン共々、順位を落とした。玉突き現象的に行き場を失ったマシンが続出し、後方でクルサードがクラッシュした。母国GPの中嶋一貴もダメージを負ってピットに向う羽目に陥った。これらの攻防を制したのはクビサであった。以下、アロンソ、コバライネン、トゥルーリ、マッサ、ハミルトン、ライコネン、ピケJr.の順になった。
- 仰天の場面が続く。2周目のダンロップシケインで、ハミルトンがマッサに襲い掛かった。ハミルトンが前に出るものの、マッサが無理にシケインをショートカットし、且つハミルトンに衝突した。ハミルトンはスピンし、ピットインの必要にも迫られ、最後尾付近に転落した。クビサ、アロンソ、コバライネン、トゥルーリ、ライコネン、ブルデー、マッサ、グロックの順になった。
- 6周目、グロックがアクシデントダメージにより、ピットでリタイヤとなった。ライコネンがトゥルーリをオーバーテイクした。8周目、タイヤのパンクにより、スーティルがリタイヤとなった。17周目、コバライネンがエンジントラブルによってリタイヤとなった。21周目、フィジケラもマシントラブルにより、ピットでリタイヤとなった。
- 話しは戻り、上位陣のピットインは17周目、クビサから始まった。アロンソがピット作業を短めにして、クビサの前に立った。この頃、ハミルトン(スタート1コーナーでのブレーキングによって)とマッサ(2周目のカットと接触)にドライブスルー・ペナルティが科された。25周目、ブルデー、ピケJr.、アロンソ、クビサ、ライコネン、ウェバー、トゥルーリ、ベッテル。マッサとハミルトンは13位と14位。
- 28周目、ピケJr.がペースをあげてからピットインし、ブルデーの前に立った。29周目、マッサがバトンをオーバーテイク、追い上げが始まった。アロンソ、クビサ、ライコネン、ウェバー、トゥルーリ、ピケJr.、ブルデー、ベッテル。ウェバーが1回ストップ作戦を採っている。34周目、ウェバーがピットインした。アロンソが1分19秒台連発で独走態勢を築き上げた。
- マッサの順位が、ハイドフェルドやバリチェロらのピットインと、41周目のウェバーに対するオーバーテイクによって、8位となった。43周目、アロンソがピットイン。45周目、クビサ、ライコネン、トゥルーリ、ピケJr.、ブルデー、アロンソ、ベッテル、マッサ。マッサが点差を詰めるべく1分19秒代前半を連発しはじめた。
- ところが51周目のピット出口付近、ブルデーとマッサに接触があり、マッサがスピンした。トゥルーリとピケJr.の順位がピット作業を経て入れ替わった。52〜53周目頃、クビサとライコネンが激しく2位を争った。ピケJr.は一時、この争いにまで追いついてきた。マッサはピットイン後10位になったが、まだ追い上げを続ける。
- レースが終わった。アロンソが元チャンピオンらしい力強い走りで連勝した。マッサは残り10周で8位まで順位をあげた。51周目のピット出口の件はブルデーの方に非があるとされた。彼のレース結果に25秒が加算され、6位から10位に転落した。ライコネンがタイトルの可能性消滅のときを迎えた。
- ■ 10月19日 第17戦 中国
- 予選で、ハイドフェルドが進路妨害のため3グリッド、ウェバーがエンジン交換のため10グリッドとそれぞれ降格になった。予選の上位4台が去年タイトルを争ったメンバーであるのは、奇妙な巡り合わせと言える。
- オープニングラップは、ハミルトン、ライコネン、マッサ、アロンソ、コバライネン、ハイドフェルド、ベッテル、クビサの順で通過していった。スタートでコバライネンがアロンソを抜いて4位につけたが、アロンソが一周かけて奪い返した。後方でクラッシュが発生し、トゥルーリがリタイヤに追い込まれた。ハミルトンとマッサの差は、2周目で3秒差、3周目に4秒差と開いていった。
- 14周目、スーティルがリタイヤした。同じ周にマッサとアロンソがピットイン、翌周にハミルトンとライコネンがピットインした。21周目、ハミルトン、ライコネン、クビサ、マッサ、ピケJr.、アロンソ、コバライネン、ハイドフェルド。クビサやピケJr.がピットインを遅らせた。中嶋一貴やグロックらがワンストップ作戦を採って順位をあげた。35周目、コバライネンの右フロントタイヤがパンクした。スロー走行でピットインし、大きく後退した。結局のところ、第2ステイントでもハミルトンとフェラーリ勢との差は、じわじわと開く一方であった。
- 36周目から数周で上位陣がピット作業を済ませた。とうぜん順位変動は起きない。49周目、ライコネンがマッサに2位を献上した。51周目、コバライネンが空力システムの故障のため、ピットでリタイヤとなった。
- ハミルトンの、PPとFLも獲得しての独走勝利であった。クビサが脱落し、タイトル争いはハミルトンとマッサの二人に絞られた。ハミルトンは最年少のタイトルへ向けて大きく前進した。
- ■ 11月2日 最終の第18戦 ブラジル
- 予選。マッサが力の走りでPPを奪った。おさらいすると、マッサ優勝の場合ハミルトンが6位以下なら、マッサがタイトルに輝く。
- レース直前に激しい通り雨が降ってきた。B.エクレストンがYシャツを濡らしながら、屋内に駆け込んでいった。路面はびしょぬれで、スタートが10分遅れること、タイヤ選択の機会が与えられることが決まった。
- 多くがスタンダードウェット・タイヤを装着してフォーメーションラップが始まった。クビサがピットスタートを選んだ。レッドシグナルが消えると、1コーナーで数台が隊列から吹っ飛んでいった。母国GPのピケJr.と引退レースのクルサードがリタイヤとなった。セーフティーカーが出動した。マッサ、トゥルーリ、ライコネン、ハミルトン、ベッテル、アロンソ、コバライネン、ブルデーの順で安全走行となった。フィジケラがいち早くピットに駆け込んだ。
- 5周目にレースが再開された。すぐにコバライネンがアロンソを抜くが、アロンソも負けじと抜き返した。8〜9周目、下位でドライタイヤに変更する者が現れた。10周目、ベッテルとアロンソがDタイヤに変更した。翌周に残りの上位陣も同じ行動に出た。マッサ、ベッテル、アロンソ、ライコネン、フィジケラ、ハミルトン、グロック、ブルデーという順になった。路面の乾きは不十分で、各車スリップしてカウンターステアを当てながら走行している。中嶋一貴やトゥルーリがスピンした。フィジケラにはチームの初ポイント獲得の期待がかかっている。
- 18周目、ハミルトンがフィジケラをオーバーテイクした。ベッテルがマッサを追いかける。20周目、トゥルーリがブルデーをオーバーテイク。27周目、コバライネンがトゥルーリをオーバーテイク。翌周にフィジケラをも抜いた。これで、順位的にハミルトンのタイトルをおびやかす後続はグロック一人となった。ベッテルが2/3のピットインを行なった。29周目、マッサ、アロンソ、ライコネン、ハミルトン、グロック、ベッテル、コバライネン、フィジケラ。
- 37周目前後、マッサを始め、上位陣が一斉に(天候が順調ならば)最後のピット作業を行なった。44周目、マッサ、ベッテル、アロンソ、ライコネン、ハミルトン、ウェバー、コバライネン、グロック。コバライネンがグロックの前に出たため、マッサのタイトルが難しくなった。
- 52周目、ベッテルがピットイン。55周目、マッサ、アロンソ、ライコネン、ハミルトン、ベッテル、コバライネン、グロック、トゥルーリ。マッサ戴冠のためには、とにかくハミルトンの前に5人いなくてはならない。だからグロックがハミルトンの前に出ない限り、タイトルはハミルトンのものである(チームメイトのコバライネンは順位を譲ることができるから)。そして、この頃、雨の予報が発表された。
- 文字通り風雲急を告げる最終戦、ピットには、タイトル争いの二人の家族が共に招かれている。どちらも当初は賑やかだった顔つきが、次第に厳粛なものに変わった。外に出て雨を確認しだしたり…。そして、66周目、雨粒が落ちてきた。各チームがウェットタイヤを準備し、続々とピットインを行なった。マッサも下位の様子を見てからピットインした。ピット作業が終わると、67周目、マッサ、アロンソ、ライコネン、グロック(Dタイヤのまま)、ハミルトン、ベッテル、コバライネン、トゥルーリ(Dタイヤのまま)の順になった。
- 荒れ模様のレースが続く。69周目、ついにベッテルがハミルトンをオーバーテイク! このときの攻防には、周回遅れのクビサも何故か絡んだ。このままの順位だとタイトルはマッサのものとなる。真っ黒な光景のなかレースが続く。最終周、マッサがトップでチェッカーを受けた。家族は大喜びである。しかし最終コーナー、ペースが格段に落ちているグロックを、ベッテルとハミルトンが抜き去ってチェッカーを受けた。これでハミルトンが最年少王座に輝いた。双方の家族は、天国と地獄を行ったり来たりであった。パルクフェルメでマッサは…、悔し涙をぬぐい、母国の声援に行儀のよいお辞儀で応えた。
- 薄暗い光景の表彰式でも、マッサは、現実を噛みしめつつ力強く胸を叩いて声援に応えた。「これぞモータースポーツ…!」と叫びたい一戦の閉幕であった。
- ■ シーズン後
開催数 | 覇者 | 得点シェア | 勝率 | PP率 | FL率 | LD率 | | 最多勝 | 率 | PP王 | 率 | FL王 | 率 | LD王 | 率 |
18 | L.ハミルトン | 14.0% | .278 | .389 | .056 | 26.0% | | F.マッサ | .333 | L.ハミルトン | .389 | K.ライコネン | .556 | F.マッサ | 31.9% |
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